睡眠時間とうつ病には、どのような関係があるのでしょうか。睡眠不足が続くと、本当にうつ病のリスクは高まるのでしょうか。今回は、睡眠とうつ病の関係について明らかにした研究をご紹介します。この研究は、神経学分野の国際学術誌に掲載されたもので、睡眠時間とうつ病の関連性について分析しています。
この研究では、2009年から2018年にかけて、うつ病の有病率が約2倍に増加していることが報告されています。特に注目すべきなのは睡眠時間との関係です。睡眠時間が5時間未満の人は、7〜8時間の適切な睡眠をとっている人と比べて、うつ病を発症するリスクが3.74倍高いことが示されました。 研究チームは、無作為に抽出した成人を対象に、就寝時間や起床時間、総睡眠時間、睡眠の質などについて調査を行いました。¹

現代社会において、うつ病の有病率が増加していることは広く知られています。特に、新型コロナウイルスの流行以降は、いわゆる「コロナうつ」が幅広い世代に影響を与えました。
では、現代人の睡眠はどのように変化しているのでしょうか。この研究によると、2009年から2018年にかけて、平均睡眠時間は19分短くなっていました。また、「睡眠が十分ではない」と感じている人の割合は、30.4%から44.3%へと増加していたことが報告されています。これらの結果から、現代人は以前よりも十分な睡眠を確保しにくくなっているだけでなく、睡眠の質にも課題を抱えていることがうかがえます。
睡眠時間の不足や睡眠の質の低下は、うつ病だけでなく、さまざまな健康問題のリスク要因として知られています。特に、睡眠時間が5時間未満の場合、うつ病の発症リスクが大きく高まる可能性があります。
一方で、睡眠時間が9時間以上と長すぎる場合にも注意が必要です。長時間眠る「ロングスリーパー」の中には、睡眠の質が十分ではないために、疲労を回復するためにより長い睡眠を必要とする人もいます。そのため、一般的な睡眠時間しか確保できなかった場合、十分に疲れが取れず、日中に強い疲労感を抱えやすくなることがあります。睡眠は「長ければ良い」「短くても平気」というものではなく、自分に合った睡眠時間と質を確保することが大切です。

さらに、働く人を対象に睡眠と抑うつ症状の関係を調査した研究では、抑うつ症状に加え、不安や自殺念慮なども含めて評価が行われました。その結果、1日の睡眠時間を7時間とした場合、睡眠時間と抑うつ症状の関係は緩やかなU字型を示すことが明らかになりました。 つまり、睡眠時間が短すぎても長すぎても、抑うつ症状が現れやすくなる傾向が見られたのです。特に、睡眠時間が4時間程度だった場合には、7時間睡眠の人と比べて、抑うつ症状の程度が4倍以上高くなっていました。また、10時間以上眠る人では、うつ病の有病率が平均的な睡眠時間の人と比べて約1.3倍高いことも報告されています。²
うつ病予防のカギは「睡眠の質」

ここまで見てきたように、睡眠時間とうつ病には深い関係があることが、さまざまな研究によって明らかになっています。心の健康を保つためには、十分な睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の質を高めることも大切です。では、質の良い睡眠をとるためには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。ここからは、睡眠の質を高めるためのポイントを一つずつ見ていきましょう。
1. 規則正しい睡眠リズムを保つ
睡眠の質を高めるためにまず意識したいのが、体内リズムを整えることです。同じ時間に寝て、同じ時間に起きる習慣をつけることで、質の良い睡眠をとりやすくなります。また、日中に過度な疲労を感じにくくなる効果も期待できます。規則正しい睡眠リズムを維持することは、睡眠の質を向上させるための基本です。毎日決まった時間に就寝・起床するだけでも、睡眠の質の改善につながることが報告されています。³
2. 快適な睡眠環境を整える
睡眠時間と同じくらい大切なのが、睡眠環境です。自分に合ったマットレスや枕を使うことで、より快適に眠れるようになります。また、就寝時に明るい照明をつけたままだと、睡眠を促すメラトニンの分泌が抑えられ、深い眠りに入りにくくなります。一方で、光を遮りすぎるのもおすすめできません。朝の光は体内時計を整え、自然な目覚めをサポートしてくれます。快適な寝具と適度な明るさを意識し、眠りやすい環境を整えましょう。
3. 寝る前のブルーライトに注意
寝る前についスマートフォンを見てしまう方も多いのではないでしょうか。スマートフォンの画面の強い光や、テレビの刺激的な映像・ニュースは脳を覚醒させ、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑えてしまいます。その結果、十分な睡眠時間を確保していても深い眠りに入りにくくなり、疲れが十分に取れない原因となることがあります。⁴
4. 寝る直前の食事は避けよう
夜食が習慣になっている方は、睡眠のためにも少し控えてみましょう。食事の後、体は消化のために働き続けます。そのため、夜食を食べてすぐに寝ると、睡眠の質が低下することがあります。また、糖分の多い夜食は体を覚醒させ、寝つきを悪くする原因にもなります。食事はできるだけ就寝の2〜3時間前までに済ませるのがおすすめです。
もし、うつ症状と睡眠の悩みを同時に抱えているなら、この機会に睡眠習慣を見直してみてはいかがでしょうか。リナイトでは、モノラルビートや睡眠瞑想などを通じて、毎日の睡眠リズムづくりをサポートしています。
「寝つきが悪い」「朝起きても疲れが残る」と感じている方は、ぜひ一度リナイトをご活用ください。
